2024-10

リゾートバイト冒険譚

リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑪ ~チャンコちゃん~

謎の奇病により、足が痛む私に対しチャンコちゃんが声をかけてきた。 「大丈夫?」 「ありがとう、大丈夫だよ」 もはや背水の陣の私は「痛い」とすらも言えない。優雅に泳ぐように見えて、水面下で必死に水をかく白鳥のごとく、私の苦労は微塵も見せてはい...
リゾートバイト冒険譚

リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑩ ~足が痛い~

仲居として独り立ちを果たし、ようやく一人前の仕事をこなせるようになってほどなくして、私は左足が痛くなり、少し腫れるような感じが出始めた。 原因は全く不明だが、ずーっと足を曲げていたかのように痺れるような、曲げずらさ、コントロールのしずらさを...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑨ ~束の間の平和~

ハルカさんが退職したことで、一旦は集団嫌がらせは幕を引いたようだ。 仕事面においても、私も独り立ちを果たしており束の間の平和が訪れていた。 あるお部屋に荷物を運んで、決まり文句のご挨拶をしたところ 「ここの女将ですか」 と言われたことがあっ...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑧ ~モリタさんのお茶会~

私の教育係であったハルカさんが退職し、私はモリタさんの部屋にお茶のお招きを受け、モリタさんの部屋に上がった。 正直、他の人の部屋に入ったのは、着物の着付けを教わるために伺ったヤノさんの部屋以外では初めてだ。 モリタさんの部屋はいろいろな家電...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑦ ~ハルカさんの退職~

夜の露天風呂の端っこで、まさかの真実を知る。 行きのお土産屋で聞いた、夜中旅館から逃げ出して泣きながらタクシーに乗って帰った彼女は、私の部屋に居た人だった。 「そういうば、あんた、何か嫌がらせとかうけとらん?」 どうやらこの年配チームのモリ...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑥ ~誰が敵か、味方か~

部屋への不法侵入、複数名の集団による嫌がらせがあることが認識できた。 けれども、それは誰がどこまで関与しているのか全く見えなかった。 さっき一緒にハルカさんが衿芯を取り出した時、私同様に意味が分からずとも尋ねたりしないケースもあるため、一緒...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑤ ~着物の衿芯~

朝食の接客は、着るのが簡単な作務衣を着ていたが、夕食の接客は着物を着ることが義務付けられていた。着物の着付けに関しては70代のベテラン仲居のヤノさんに教えてもらうように指示され、私は夕食の集合時間の少し前にヤノさんの部屋に行き、彼女に着物の...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編④ ~仲居仲間たち~

思い出す限り、当時仲居として在籍していたのは10名ちょっとくらいだったと思う。 年齢層は私のようにリゾートバイト経由で来ているであろう、20代の女子たちが半分くらいと、ここ以外でも仲居歴のあるような玄人仲居たち(恐らく50代以上)が3分の1...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編③ ~僻地での暮らし~

翌日は早朝集合だ。朝6時台に集合を言い渡され、ギリギリまで寝ていることもあってか、朝は作務衣でみんな集合する。100均で買った網付きバレッタで簡単に髪をまとめて、慌てて厨房に行く。 今日は昨晩食事をとった会場に各部屋の方が朝食を取りに来るよ...
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リゾバ冒険譚・温泉旅館編② ~着いたその日から労働スタート~

赴任先として知らされた旅館に到着した。 しっかりとした建物で、そこそこ大きい気がした。 裏口などもわからなかったので、正面から入って声をかけた。 「今日からリゾートバイトで来ました」 すると、玄関にいたスタッフの方が女将の居る部屋へ案内して...