地獄の胃カメラ。

日常の出来事

胃カメラは私の毎年のまぁまぁ義務である。

理由は、過去一度不本意にもピロリ菌を保菌した経験があるためだ。

それ故に私の胃は、毎年胃カメラで観察することを推奨されるようになっている。

子供の頃、注射が嫌で嫌でたまらなかったが、大人になってそれを克服した今、さらなる脅威が私に襲い掛かるようになってしまった。

巷で、胃カメラ、バリウムは苦しいなどと聞いていたが、いざそれを受ける身になった時、火のない所に煙は立たないのものだと痛感した。

バリウムは、ちょっとしんどいな で終わるレベルだった。

でも胃カメラは、まぁ人為を超えているというか、自然にはあり得ないアクションを受け止めなければいけない行為だなというのを感じる。

私のファースト胃カメラは、地元の総合病院だった。

初回の私は自分の身に何が起こるか全くわからないがゆえに、そんなに恐怖を抱かなかった。

担当されていた方がベテランの方というのもあるのだろう、パニクる私を相手にせずに、はいそういうこともありますね、と慣れた様子で淡々と、成すべきことを成していった。こういう心もとない時には、中年であろうと、自分より年齢ないしは人生の年輪や頼りがいを感じられる人物というのが頼もしく感じられると体感した。若いばっかりが人の価値ではない、と。

苦しいながらも2度ほど、そこの病院での胃カメラをこなした。

しかし3年目に異変が起きた。

おそらく混んでいたのだろう、同じ病院にも関わらず、初めてあう若い医師と若い看護師のペアに当たった。相変わらず苦しむ私、ひるむ医療チーム。そしてこの時、はじめて若さに価値の低さを感じる気持ちを抱いた。こういう時に頼りたいのって、こういう感じじゃない、というか。

もっとどっしりとしていて、経験値とか頼りがいとか、人間の年輪とか、そういうのを感じる人に傍に居てほしいと。

わっかい綺麗な華奢なお姉ちゃんや、イケメン先生では太刀打ちできない世界戦がそこにはあった。

その若者チームに、相当苦しめられて3回目を終えた結果(私は、今日はもうやめたいと言ったが決行された)私はもう二度とシラフで胃カメラをやらないと自分に約束をした。誓いを立てた。

そして早速、翌年行動を起こした。

麻酔付きの胃カメラを実施して、会社が提携している病院を洗い出した。

東京まで遠征することになるが、手段は選ばない。

翌年、麻酔付き胃カメラが受けられる病院で人間ドックを申し込んだが、あまりに人気で、年度の変わり目ギリギリに申し込んだが故に、年内で麻酔付き胃カメラの受診ができない状況に追い込まれた。

そのため、そこで胃カメラ以外のすべての健康診断をそこで受診し、胃カメラだけ別手配で、麻酔を行えるどこかの有名病院と繋がっていそうな内科を洗い出し、都内で受診する手はずを整えた。

初の麻酔付き胃カメラは成功し、私は意識を失ったまま全てを終えることができた。

施術後、喉に若干に違和感があったが、麻酔中に胃カメラのやつが喉を通り過ぎた痕跡に感じられた。

これで翌年からは万々歳だ。来年は前もって予約をし、自費で手配しないで済むようにしよう、そう思い、迎えた翌年。私は例の都内にある提携病院で、麻酔付き胃カメラを会社の保障内で申し込むことに成功した。

満を持して迎えたその日、私は過去に累積した胃カメラ恐怖を思い起こす機器に囲まれただけで心拍数が上がっていた。けれども麻酔さえ打ってしまえば、後は諸々完了だ。そう思って臨んだが、一向に意識はなくならない。なくならないのに胃カメラを入れると言っている。なんか話が違う。こないだやったやつとなんか違う。麻酔が効いてくることを祈りながら、鼻から胃カメラを選択したが、苦しい。。。

もう無理、絶対無理。

すみません、もう無理なんでやめてください、と伝えた。別の所でやります、と。

先生は言う、麻酔は既定の量が決まっているので、それ以上は使えない、と。私が意識を失ったあの病院は一体何だったのか。とりあえず、これは無理なやつだ。規定量を超えてもこうして元気でいるのであれば、そっちのがいい。そこの医療センターも有名な病院に紹介できる、スタッフも優秀さをにじませる方が多いところではあったが、ちょっと反則しても顧客のホスピタリティを追いかけてほしい。

そんなこんなで、せっかく長期計画で臨んだその受診を取りやめた。

そして私は、再び例の内科に転がり込んだ。

他で受けようとしたが、全然眠れずダメだった。昨年こちらで受けたときには意識を失えたので、今年もそうして欲しい。そう告げた。

そうしてその年もそこの医院にお世話になった。検査の結果は、2週間後以降に改めて医院に聞きに来るように言われる。私はそのために地方から上京するのだが、まぁいい。苦痛を回避できるのであれば、労は惜しまない。

そして後日、医院を訪れた際に、検査結果よりもまず使用された麻酔量に対しての心配をされた。

規定量の2倍近くを使ったみたいだけれども、具合は大丈夫だったか、と。

私は施術中に目が覚めないよう念押しをしていたので、そのようになったのだと思うが、思い出す限り健康面に何か問題はあった気がしない。医療チームは私のニーズにフルスロットルで答えてくれたのだ。

大丈夫です、問題ありませんでした、と答えた。

診察結果も問題なく、万々歳でその年の人間ドックも幕を下ろした。

会社の総務に、胃カメラの自己手配をしているのはあなただけだと、数の論理で非難されたが、そんなもの私の苦痛と比較したら、気に留める内容ではなかった。私は苦痛回避に全力を傾けたかった。

今年の人間ドックも、自己手配、自費で、そちらの病院にお願いしたのだが、今回も例によって緊張が強く、恐らく今回は受診中に起きた可能性がある。というのも、おぼろげに診察室の記憶があるが、でもしっかりと覚えていない。

受信後、麻酔から覚めた際に、看護師さんに、施術中のこと覚えていますか?と聞かれたが、覚えているようないないような、という風に答えた。恐らくこんなこと聞かれるということは、なんか起きたんだろうな、と思った。

昨年5000円ほどだったような受診費が、今年は8000円ほどだった。きっと何かあったのだろう。今度の診察でそれを聞くことになるだろう。

受診翌日の本日、何か喉が痛い。いったい私の身に何が起きたのか。そういえば、昨日の受診後は、今までにないくらい眠くなるシーンが多かったかもしれない。

これからも規定量を超えた麻酔に耐えられるよう、体を鍛える必要があるだろう。

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