職場に対する見栄と意地により、TOEIC800点を目指すため語学学習のペースメーカーとして採用していたオンライン英会話のネイティブキャンプ。1月のテスト結果に心が挫けそうになった時、私のモチベーションを維持する役割を果たし、果ては私の生きる理由にもなり替わりそうなくらい、近日私の脳内情報の8割を占める存在となった、イケメンフィリピーノ講師、通称・羽生君(ネイティブキャンプ所属)。
しかも現地でちょっと会えるだけでなく、彼のおうちにステイさせてもらい、どうやら観光巡りも一緒に行ってもらえそうだ。もし日本で有償でこのようなサービスを受けるとなれば、すさまじい金額を要することだろう。私の思惑が叶わずとも十分元を取ることができるエキサイティングな企画だ。
当日まで約1か月。
私は今できうる限りの備えをしなければいけない。私が取り組むべき要件は以下の通りだ。
・ステイプランの構築(丸投げは悪くない?)
・ダイエット(デブだとやばくない?)
・アンチエイジング(羽生君は20代前半だぜ?)
・対飛行機対策(飛行機苦手。。)
・留守の間の猫対策(4日間どうしよう)
・通常の海外旅行準備(コンセントとかwifiとか)
・お土産の手配(丸腰でおうちにお世話になるのはちょっとね)
そして渡航が決まる手前あたりのレッスンの時に、羽生君にSNSアカウントを聞かれた。
え?いいんですか?
私の方から超タイミングを見計らって聞こうと思ってたのに。
冷静に伝えている風を装いきれたか定かではないが、私の内心は緊張その他で舞い上がり、手は震える手前だった。うまく指が動かなかった。
ついにオンライン英会話で恋愛に発展させる方法のうちの2つの要件を達成した。
とりあえず、彼の間合いには入れた。
こっからどうにかするかは私次第だ。自信はないが出来ることはやろう。
私はTOEIC800点を傍ら、節約を地道に行い不動産オーナーになることも目指している。そのため、様々な場面において節約はついて回る。
まずフィリピンの見どころが全然わからない。羽生君に丸投げにするわけにはいかない。なので私の旅の友、地球の歩き方を図書館で借りる。これでコツコツと
その一方で、フィリピンステイの際の服装も検討する。インドで買った自分土産のパンジャビスーツ。これを押入れから出して、日の目を見せるのもありだ。暑い気候にはうってつけの仕様になっている。
過去セブ島留学の際にインド帰りだったこともあり、荷物にパンジャビスーツが含まれていたため、セブ島では愛用していた。海外でのびのびした気持ちになる私は、早速画面越しに羽生君に自前のパンジャビスーツを見せてみる。
「どう?これ。インドの自分土産に買ったんだ。セブ島でも着ていたんだよ」
羽生君は穏やかに微笑みながら
「フィリピンではあまりそういうのを着ている人はいないかな。もしそういうのを着ていたら、周りの人はみんなきっと君をみるだろうね」
「目立つ?」
「リラックスできるTシャツとハーフパンツとかを持ってくるといいよ」
羽生君は穏やかなトーンで、まっとうな回答を返した。
ところで、地球の歩き方を読むが、主要都市の観光についてはパラパラと書かれているが、羽生君が暮らすエリアは観光地でも都市でもないため、特段情報が得られない。
「ところで他の生徒さんは、GWにあなたのお家に行って何するの?」
「えっと、まず初日はネイチャーツアーに行って…」
「待って、それ一人で行くの?」
「いや、僕とか僕の家族とか、他のネイティブキャンプの先生もよく家に来るから、その先生とか誰かしらついて行くよ」
「ふうん。まぁネイチャーツアーもいいけど、セブとかでも滝とかは見たから、ある程度満足はしているの。それよりもあなたの暮らしている環境とかに興味がある」
そう、今回の旅の目的はフィリピン観光ではなく、羽生君の暮らしの視察がメインなのだ。
「そう、これ僕の家の周りだよ」
いくつか写真が送られてきたが、木が生い茂っていたり道だったりして
よくわかんねーー。
ちがう、そうじゃないんだ。君の暮らしを知りたいんだ。
Youtubeで彼の住む街周辺の動画を見てみたところ、どうやら商業地と住宅地の中間にあるような土地柄のようだ。
動画に映る街並みを見ながら、この中を羽生君が歩いている様子に思いを馳せたりする。
あぁ、いったいどんな滞在になるのだろう。
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