職場に対する見栄と意地により、TOEIC800点を目指すはずだったのだが、そこからどんどん脱線し、オンライン英会話ネイティブキャンプの講師に会いに行くこととなった。退屈な日常の起爆剤、イケメンフィリピーノ通称・羽生君に会うために。
浮かれる私は、思いつく限りの手段を講じ、なけなしの資産を惜しみなく使って、その日に向けて準備をはじめていた。
”飛行機が苦手”という課題を解決するために、私はスピリチュアル系整体を受けに行った。
キテレツな課題を解決するには、正攻法にばかりこだわってはいられない。
施術者である彼女に嬉々としてこの流れを説明したところ、彼女は言葉を選びながら慎重に言葉を発した。
「それってロマンス詐欺ととかじゃない?大丈夫?」
え?今なんと?
今のところ、羽生君から金をせびられるオーダーは受けてない。今のところセーフだと思う。
「私の知人で、アラフィフなんだけれども、やっぱりオンライン英会話で知り合った若い男性、っていっても30代とかだけれども、そういう人に甘い言葉でささやかれてロマンス詐欺にあってしまった人を2人知っているの。だからちょっと心配になってしまって。。」
なるほどね!あと10年後の未来には、この私もロマンス詐欺のガチターゲットになりうるわけだ。
今だってデッドラインすれすれのところに居るかもしれないが。。。
そんな風に言われても、私には変な自信があった。
・今の自分の生活環境においても、時たま20代男子に興味を持ってもらえることがある。←といっても地方マジックありきとも思うのだが。。地方は出会いが少ないから、若いおねーちゃんに強い競合がいなければ、こういうミラクルも時々起こせる
・やばさには敏感 ←初インドを妹とのケンカ別れも経験しつつ、独力で帰ってこれたことが自信になり、自分の生き抜く力に自信を持っている
・一番大事なのは自分、という信念 ←誰かのために自分をなげうって、という精神が少な目。私の財布を狙うものは何人たりとも許されない。なぜなら私を守れるのは私だけであり、それゆえにここまで独身であり、ここまで生き抜いてきたともいえる。
これらの要素から、彼女の不安を他所に、私は自分は大丈夫である自信がなんとなくあった。
彼女のアドバイスを頭の片隅に入れつつ、きな臭くなったら爆速で逃げ出せばよいだけだ。
しかし、飛行機以外に不安要素がなかったが、彼女が不安な様子をみているといささか心配な気持ちも湧いてきていた。
「行く場所はなんていう町?私の知り合いにフィリピン人が居るから聞いてみる。治安が大丈夫な街かどうか。あとその街に日本レストランはある?日本人がいるところに予約を取っておいて、何かあった時に助けを求められるようにしておいたほうがいいかも」
具体的でためになるアドバイスを諸々浴びせていただき、なんだか不安もよぎる。
なるほど、最悪の場合を想定するとそういう安全策が必要になってくるのか。。
彼女のアドバイスと心配を基に、ロマンス詐欺と拉致監禁が発生する可能性について考えておく必要が生じていた。
どうやら彼女の弟が、睡眠薬を飲まされ身ぐるみをはがされて、そこいらに捨て去られた経験があるようだ。何て恐ろしい国なんだ、フィリピン。
「行く街がわかったら教えて。私の知り合いのフィリピン人の人に治安とか聞いてみるから」
浮かれた気持ちもどこへやら。
途端に未知なる危険な場所へ赴くような気持になった。
過去一度、韓国人が経営するセブ島の英語学校に3週間ほど居たことがあった。
なのでフィリピンは全く勝手がわからないわけではない、つもりだった。
でも今回は、何の公的機関も入らない、バイトか、それ以上に自由度の高い仕事で、完全にプライベートでの交流だ。安全の保障はない。
またロマンス詐欺に今後発展していく可能性もゼロではないのだ。
しかも彼女の周りの被害は、N=2だ。母数もそんなに多くないだろうに。
不安が募る。
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