職場への見栄と意地でTOEIC800点を目指すも、オンライン英会話ネイティブキャンプの講師、イケメンフィリピーノ・羽生君に現を抜かし、オフラインで会う約束を取り付けるも、ロマンス詐欺なのではと疑りはじめるアラフォー。
私をウキウキさせてくれたアクションは、特別な行動ではなく、多くの人にやっていることだったのだ。。
正直なところ、落胆の色が隠せなかった。
飛行機がキャンセルできるのなら、恐らくこの時点でキャンセルした可能性が高い。しかし最安値を狙うため、返金不可のプランで申し込んでいる。フィリピン行きはほぼ確定だ。
ここで私は、切り札であり、重要なご意見番である、占いを生業としている友人に相談を持ち掛けた。
彼女は幼いころから霊感が強く、そのシックスセンスを占いの方向へ昇華させたのだが、見えざる者との交信能力が高いため、本当に良く当たる。良く観えているのだ。
彼女の予言により、数々のドラマを見てきた私は、この羽生君について、フィリピン渡航について、占ってもらうことにした。
「この旅行は特に悪いことはなさそう。彼がとんでもない悪人ということもなさそうだし、旅自体は行くことですごく良さそう。彼はどちらかというと草食系な感じもね。」
「そうなのかなぁ。なんか私以外にも同じように気を持たせることをやっている気がするし。。もし飛行機がキャンセルできるなら、ちょっと行かない可能性あったかも。もう閉店しようかなと思うくらい」
「何があったの?こないだまでフィリピンに行くの楽しみにしていたじゃない?あぁなるほどね。上と下にこのカードが出ているというのは、嫉妬とか独占したいけどできない、とか泥棒に入られるんじゃないかっていう不安が出てきているのかな」
ズバリだ。さすがだ。
「でもカードを見る限り、彼の周りには悪いエネルギーはなさそう。だからとんでもない悪党ってこともなさそう。純粋に楽しみにしてるっぽいよ。この旅自体は行くことで良さそうだし、この旅で終わりってわけじゃなくて、ここから続いていくご縁みたいだから、焦って気持ちをぶつけるとかはしない方が良さそうだね。純粋に旅を楽しむスタンスでいいんじゃないかな」
「そうなんだ。以前は、他の人に取られないように押し倒す案も頭の片隅にあったから、よく覚えておくよ」
そんな豪傑な振る舞いはしたことはないが、もったいぶる年でもないとも思っている。
しかしながら、そんな騒ぎではなく妖怪退治の旅になる可能性すらよぎっていたのだ。ディフェンスを固めて、さらっと旅程をこなし、無事に帰国してそれとなく”たぶらかし注意”みたいな口コミを書くことを想像したりしたくらいだ。
とはいえ、ご意見番の彼女の見解が聞けて、羽生君が悪人でないことは理解できた。
しかしながら、乙女な私は ”自分だけが特別扱いされていたわけではない、むしろ私が喜んでいたことは、相手にとっては特に思い入れのない行動だった” ということを踏まえると、近寄るのにためらいが生まれてしまうところだ。
彼らの ”普通” に翻弄されて、自分が誤解して誤った判断や、感情の揺れを経験することを避けたいからだ。
私のネガティブな見解と、ご意見番の彼女の情報を携えて、フィリピン渡航の日を目前に控えた。
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