必達TOEIC800点計画㊴ ~羽生君とお買い物 後編~

語学の勉強

二次元の世界の住人と思っていた、イケメンフィリピーノの羽生君と近所のスーパーにお買い物に来た。いいところ見せようといきりだし、バスケットボールを入れるゲームをやろうとする私。

「じゃあ、これやってみる」

そういって、買い物袋を置くと小さな水たまりが目に入った。

どうやら袋から水が漏れているらしい。

「見て、見て」

慌てて袋を持ち上げて、二人でその場を走り去った。

「たぶん、カニが袋を破ったんだ」

そう言って、袋を抱えて出口の方に向かおうとした、が、外は暑い。

「お兄ちゃんが来るまで、ジョリビー(フィリピンの国民的ファーストフードチェーン店)で待とうか」

となった。

<公式 フィリピン政府観光省のページより>

「私出すから、好きなのいいよ」

と羽生君に注文を促した。

すると羽生君は、お腹が減っていないと言っていたにも関わらず、がっつりセットを頼みだした。

こういう時に清々しいくらい遠慮がない注文をするのは、お国柄の違いなのだろうか。

もしくはあんまり裕福ではない故の、もったいない精神からなのだろうか。

私は空港で頼んだものと同じく、ストレートのはずなのに甘くなっているアイス珈琲を頼んだ。

羽生君のオーダーを呼び出しベルで待っている間、私は水漏れの原因となっている袋が気になっていた。何とかして、漏水を食い止めたい。お店も汚すし、食品衛生的にもまずいと思う。

各袋をチェックする私に羽生君は

「もうしょうがないよ。どうせまた別の袋に入れても穴が開くんだから」

「でもこのままじゃ、車が汚れちゃうよ?」

「掃除すればいいよ」

そのように言う羽生君を他所に、私は先ほどジョリビーのカウンターでもらった袋と紙ナプキンで、漏水を食い止める算段を持っていた。そうして各袋をチェックした果てに、ついに漏水の原因を突き止めた。

「本当だ、カニが袋を破ってる」

カニの入った小袋を持ち上げ、穴の開いていない袋に紙ナプキンを敷いて、カニの鋭角なハサミが直接袋に当たらないようにして、その中にカニの小袋を重ね入れた。

一旦は漏水が止まり、私も自分のやりたいように出来たことで気が済んだ。

そうこうしているうちに、羽生君のセットが出来たようで、呼び出しアラームが鳴り、羽生君はセットを取りに行った。ジョリビーはあり得ないくらい炭水化物祭りで、バンズなどのパンを使ったバーガーがありながらも、パスタや米がセットになっていて、凄まじいバランスだと感じざるを得ない。

羽生君がセットを食べる横でアイスコーヒーを飲み、お兄ちゃんたちの到着を待つ。

するとお兄ちゃんとお母さんが現れた。二人は壊れたプリンターを修理屋さんに預けてきたようだ。

そうして、羽生君が食べているところにみんなが集合した。

羽生君はげっぷをしている。

私は苦笑しながら「自分が食べたいっていったんじゃん」と日本語で呟いた。

お母さんは日本に10年ほど居た経験があるため、日本語が堪能だ。

羽生君が食べきれなかった分をお兄ちゃんが食べている。

帰りにお母さんに、ジブニーに乗りたいか?と聞かれた。

ジブニーはトラックを使った乗り合いバスのようなもので、フィリピンの国民的交通手段だ。日本人が乗ったら、カッターでバックを切られて取られるとか、財布をすられると、セブ留学の際に先生方にさんざん脅された乗り物だ。しかし私はインド帰りということもあったため、その脅しを無視して、一度だけトライしてみたことがある。ほんの短い距離ではあったが。

そんな思い出の乗り物なのと、私はローカルな乗り物が好きな性質なので、

「乗りたいです」と間髪入れず答えた。

そうして、お母さんは思い出作りのために、とジブニーに一緒に乗ってくれることとなり、羽生君とお兄ちゃんは車で帰宅する流れとなった。

お母さんに連れられて、ジブニーの乗り場に行き、ジブニーに乗り込んだ。

次々と人が乗ってきて、中がいっぱいになった。

お母さんは扇子であおいで風を送ってくださる。

お金がないのに、わざわざお金を使って公共交通機関を使ってくださり、またそのお金も出していただいた。とはいえ、私は到着時に交通費とこの旅の私のガイドフィー、そして宿泊や食事代を含めた費用のつもりで、まぁまぁの金額を渡してはいるのだが。

そんな風にして、ジブニーを使って羽生君のおうちへ帰ってきた。

羽生君たちも、もちろん帰宅している。

この後は一休みして、私が所望させていただいたブードルファイトが開催される。


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