フィリピンにおける保護者として、イケメンフィリピーノ・羽生君は私を庇護してくれていた。
しかしその私が勝手に歩いて出かけたことに対して、少々驚いている感があった。
私は臆病だが、インドを旅した経験が自信になってしまっている向こう見ずなところがある人間だ。
しかも日本国内ではほぼお一人様行動なので、一人で何かすることに躊躇はない。
でも心配してもらえるって、何だかうれしい。 ←
睡眠不足の中で、残り僅かな体力でショッピングモールを歩き回ってバテバテだ。
スタバの前で羽生君とお友達の到着を待つ。
”もうすぐ着くよ”
と、今歩いているところの写真を撮りながら向かってくれている。
ほどなくして、二人は現れた。
徘徊ミドルエイジを心配したようだ(申し訳ない)
ちょうどお昼時でもあったので、みんなでご飯を食べることにした。
「どんな料理を食べたい?」
羽生君のお友達は都市部に住んでいるので、地理等に詳しい。
「魚料理がいい」
そうリクエストすると、上のフロアに行きながら、いくつかの店の前でメニューを開く。
「ここはちょっと高いかも。もう一つの方がリーズナブルかもよ」
そう教えてもらい、別のフロアに行く。
確かにそちらの方が安い感じだったので、そこに入ることにした。
一応私が全員分を奢れるようにして置かなければならないので、予算は重要だ。
羽生君は典型的な偏食で、肉とカップラーメンばかりを食べ、野菜や魚を食べないと聞いている。
少しでも羽生君のヘルシーライフに貢献したく、意識して魚と野菜の料理を注文した。
そうして二人を置いて、トイレに行ったところ
日本で言ったら ”設備不具合” レベルの漏水?が起こっており、トイレが池のようにものすごく水浸しだった。こんなことある?と日本ではあり得ない不具合に遭遇し、席に着くなり羽生君らに訴えた。
トイレがとんでもないことになってるけれども大丈夫なのか、と。
そうしたら俺もトイレに行きたいなどとマイペースにトイレに行かれる。
「水がすごいよ」
と私は忠告したが、大して気にしていなかった。
料理を食べながら羽生君のお友達が唐突に聞いてきた。
「ボーイフレンドはいないのかい?」
「居たら誕生日にこんなところに居ない」
「結婚もしてないのか?」
「してたら誕生日に一人でここには来ない」
この質問を一通りして、お友達は羽生君に目配せをしている。
これに近い内容は、お友達と合流する道中の間、羽生君と話していた内容と重複する。
私は大学時代突然気持ちがふさぎ、全然社交的にできなかったこと。
若さを謳歌するとか、恋愛するとか、それどころじゃなくて、生きていけるギリギリのラインで内面から吹き上がる嵐に吹き飛ばされないように、懸命にこの荒れ狂うものの正体に目を凝らし続けていただけだった。
それは現実的には、外界との関わりを可能な限り絶って、情報を制限し、自分の内面に向き合うこと。
私はたまたま立ち読みで出会ったこの本に衝撃を受け、その本の教えに従って、ノートにただ自分の感じたことや湧き上がってくるもの、内面、その本に則って子供時代の感覚や記憶に意識を研ぎ澄ませ、ノートを使ったセルフカウンセリングのような形で、自分の殻にこもった。
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この自分を揺るがす嵐の正体を見極めるために。
本当にそれに追われて、全然青春なんてなかった。
レベル的には、生きてるだけで丸儲け という感じだろうか。
そういうことを、羽生君にバスの中で伝えていた。
きっと今のこのお友達の質問と目配せの意味としては、それが本当なのか確証を得るために羽生君が友達に依頼したことかもしれないと思った。
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