解散した我々は、各々の部屋へ戻った。
私は心からクタクタだった。けれども汗でベトベトなのでシャワーを浴びない訳には行かない。
クーラーもしっかり効いているため、まぁまぁ信用してシャワーを浴びることとした、が
水流がとても弱い上にシャワーがほぼ水。
というか冷房が強すぎるのもあってか寒い。
まさか南の国の島で凍える思いをするとは思いもよらず、私は慌ててシャワーと止め、ずぶ濡れで部屋の冷房を切りに言った。さらに部屋に備え付けてあるポットでお湯を沸かし、それを熱湯になりすぎない段階で引き上げて、湯あみに使った。
これらの知恵と工夫で、何とかシャワーは切り抜けたが、これらの調整アクションは羽生君たちと同室だったら、絶対にできなかった。
素晴らしい判断だった。
とはいえ、もし一緒の部屋でもう少しいいホテルを一部屋取る形で予算を使えば、こんな問題は起きなかったかもしれないのだが。
後から聞いたが、友人君も同様にシャワーで凍えたと聞いて、腹を抱えた。←
そんなこんなの発展途上国ならではのハプニングもありながら(日本だったらお湯の心配とか、備え付けのクーラーが効くかどうかなんて心配はほぼしない)床に就いた。
さて翌朝。
この日は朝スタバに行ってから、ホテルに戻ってきてチェックアウトをして、空港にお見送りいただく予定となっている。
今朝の待ち合わせ時間には、ロビーではなく、羽生君たちが荷物をまとめて私の部屋に訪れた。
今朝はノックを強めにしてくれたのか、音を聞き逃すことはなかった。
「どうぞ」
そういってドアを開けると、友人君がすっと入ってきたのに対し、羽生君は私の許可を待って部屋に入ってきた。一緒の部屋を持ち掛けたとは思えないジェントルぶりだ。一緒の部屋提案は完全に私の財布に対する配慮であったことが推察される。
時間まで少しあったのと、部屋には2段ベットが2つある形で、片方が空いていたため彼らは空いているスペースに彼らの荷物を置き、空いてるベッドに寝っ転がった。
「準備できた?」
「うん」
「じゃあ行こうか」
そういって、昨日歩いて行ったモールに向かうことにした。
歩きながら私の家族のことや、過去行った海外について聞かれたのでいろいろと答えた。
「私は妹が一人だけ居て、彼女は結婚して子供がいる。けれど若い時にたくさん海外に行ったせいで今貧乏なの」
「インドに行ったことはあるけれど、一人じゃなくて妹と一緒に行ったの。彼女は4回目のインド旅行だった。だから怖がりの私でも行くことができたの(とはいえ、旅の後半は慣れてきた頃に別々のルートを行く予定になっており、実際はケンカになって予定よりも早く一人旅になったのだが)」
「なんでインドに行ったの?」
怖がりの私がインドをチョイスしたことが羽生君にイメージしづらいらしく、私の意志以外の外的要因を探っている。男子と一緒に行ったか勘ぐっているんだろうか。←
「日本ではね、インドに行くと人生が変わるって言われているの。その考え方はとても日本ではメジャーなの。だから一度行ってみたいと思ったの。そうしたら妹も一緒に行ってくれるって言ったから行くことにしたの」
フィリピンではそのような俗説はないようだ。羽生君はそれを聞いて、多少腑に落ちている感じだった。
「そうだ、後スペインにも行ったよ。後モロッコ。妹とその友達が住んでいるからそこを訪ねたの。モロッコからスペインは船で行けるから、スペインにも行ったんだ。後ドバイ。仕事の関係で、同僚に会うために立ち寄ったの。後は、ブラジル。リオのカーニバルを見たかったの。タイも行ったし、韓国も行った。子供の頃は父親の仕事の都合でオーストラリアにも半年だけ住んでたことがあるよ」
「色んな所に行っているんだね」
「長く生きているから」
羽生君に変なコンプレックスにならないように、そうやって言葉を添えた。
そんな話しをしているうちに、スタバについた。
フィリピンのスタバなんてほぼ日本と一緒、もしかしたらちょっと高いくらいかもしれないお値段だ。フィリピン価格と言って油断できる状況ではない。というか、私が渡航した頃はだいぶ円安だったので、自分がお殿様のつもりで行くことはもはやできない状態なのかもしれない。
私は昨日目を付けた、日本では見たことのない、大きなチョコレートケーキを食べたかった。それを持って自分のバースデーケーキとしたいと考えた。
しかし、ショーケースにはそのチョコレートケーキはなかった。
私はダメもとで、昨日あったチョコレートケーキがないかを聞いた。たどたどしい英語だったらしく、いまいち店員に伝わっていない。羽生君はそれを見越して、英語のサポートをしてくれた。
それにより、まだ1個だけ残っていた後ろに置かれていたチョコレートケーキが姿を現し、私は無事それを選ぶことができた。
羽生君と友人君のオーダーも一緒に頼もうと、希望を聞くと、ここに来る時に「昨日のチキンでまだお腹がいっぱいだ」と言っていたにも関わらず、ガッツリ甘い飲み物とサイドメニューを頼んでいる。
「お腹いっぱいだったんじゃないの?」
「メニューを見ていたら気が変わった」
私の財布を心配する割には、こういう所ではまったく遠慮をしない様子だ。
席に座っていていいというので、先に席について、羽生君がドリンクやフードを持ってきてくれた。
食べながらおしゃべりをするが、友人君が上手にトピックスを見つけてきてくれる。頭の回転の速さが感じられる。
話題はオンライン英会話での生徒の話しになる。どうやら子供の相手というのが大変らしく、彼らはじっと座っていないし、話しも聞かない。しかも簡単に低評価をつけるからとても手こずるというのだ。
羽生君は
「キッズ、Booo!」
と言って親指を下に向ける仕草をした。おいおい、あなたの自己紹介に「特に子供が大好きです!」って書いてあったんですけど。どんだけ猫被ってたんだ、と思い
「あなたの自己紹介。。。」
と言いながら笑った。
すると友人君が
「よく笑うんだな。オンラインのレッスンで会った時は、そんなに笑わなかったのに」
オンラインの時は、まだリサーチの意味合いもあったので相手を探ったり、自分を知ってもらったりする感じだったので、余裕があまりなかったのだと思う。
「私は今ただリラックスしているだけだよ」
と笑いながら答えた。
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