サイキックレディのお告げを受け、本来だったらこのままフェイドアウト確定だったイケメンフィリピーノ・羽生君とのご縁。
レディの数々の思い当たる予言を目の当たりにして、しり込みしながらも最短で取れるレッスン予約を取った。彼女のセッションの翌日の月曜の夜だった。
その日の朝は、私のものではない何か浮かれた空気が流れてきていて、図らずも私も楽しい気持ちになっていた。実質羽生君と決裂して3日程度しか経っていなかった。しかし私には長い時間が経ったような気がしていた。きっと四六時中羽生君のことを考え、悩んでいたからかもしれない。
職場では、私のウキウキした空気が体から滲んでいたようで、件の同じ年の同僚が、何とは聞かずとも私から滲む雰囲気から、羽生君と上手くいっている印象を受けたらしく、別の同僚と旦那さんとの仲についておしゃべりしはじめたりしていた。
私自身の気持ちは険しくあった。あの塩対応の原因がわからないからだ。
今日のレッスンは、予約はしたものの、状況の真実を確かめるスタンスは変わらない。
今日のレッスンで羽生君の ”誕生パーティーに来なくていい” の発言の真意について、納得いく回答が得られなければ、これがラストレッスンになる可能性も十分に秘めていた。
だからこのウキウキの空気は、羽生君から流れてきているものかもしれなかった。
そうして迎えた、「誕生パーティーに来なくていいよ」発言の後の初レッスン。
レッスンが始まる前、少し緊張した。私の心の中には、私が ”あなたの誕生パーティーに行きたい” と言った瞬間に険しくなった羽生君の表情がこびりついて離れない。どんな結末になろうと、私は自分の気持ちを一番大事にしたい。サイキックレディのセッションで、どんなに良いことを言ってもらえたからって、真実を見極めるのは私自身だ。
「Hello」
「Hello」
「How are you?」
「I’m fine,and you?」
お決まりのスタートの挨拶をした。羽生君はニコニコしていたが、私は警戒&臨戦態勢だ。ニコリともしないで羽生君に尋ねた。
「なぜ、この間 ”誕生パーティーに来なくていい” と言ったの?」
「君の予算が心配だったんだ。飛行機のチケットも安くないし、それに君はどこに行くにもお金を出してくれて、僕は十分にもてなしを出来ていないと感じた」
「でも、チケットはいつだって高いし、いつもあなたはお金の心配をしているから、少しでも助けたくて」
「でも、君はお金をたくさん使った。イントラムロスではボッタクリにも遭っていた。僕はそもそもお金をたくさん使って遊ぶことは好きじゃないんだ」
「じゃあ、誕生日でなくても、私が行きたいと言ったらあなたは同じことを言ったの?」
「うんそうだね」
じゃあ、私の来訪そのものが歓迎されてないってことなの?
「ふーん、そうなんだ」
「僕は単純に君の心配をして言っているだけなんだ」
だめだ、もう彼の思考が理解できない。
とりあえず、もう私が行くこと自体が羽生君の表情を険しくさせる要因なら、この話はここまでだ。
「わかった。じゃあTOEICテキストのレッスンをお願い」
「え、うん。僕の言いたいことわかってくれた?」
「わからない。私には理解できない。TOEICのレッスンをしよう」
羽生君の表情が凍り付いた。
「わかった。後でメッセージを送るから」
そう言って羽生君はTOEICのテキストを使ってレッスンを始めた。
いつもの通り、朗らかにテキストを読み上げて行くけれども、画面を通して悲しいような泣きたいような空気が流れ込んで来ていた。その空気に私も突き刺さり、悲しい気持ちにさせた。
それでも、私は無表情を通してTOEICのテキストを使ったレッスンを続けた。
私たちはここまでなのかもしれない。
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