リゾバ冒険譚・温泉旅館編③ ~僻地での暮らし~

リゾートバイト冒険譚

翌日は早朝集合だ。朝6時台に集合を言い渡され、ギリギリまで寝ていることもあってか、朝は作務衣でみんな集合する。100均で買った網付きバレッタで簡単に髪をまとめて、慌てて厨房に行く。

今日は昨晩食事をとった会場に各部屋の方が朝食を取りに来るようで、時間を見計らって食事を盛り付け、配膳していく。朝食は夕食と違って、一品一品出すということはしない。

「よく眠れましたか?」

など、当たり障りのない会話でお客様に話しかけながら、お茶などを出していく。

夜もわりと遅くまで働くため、朝の集合が早いのは起きるのが大変だ。

だからこそ、住み込みで人を囲う意味もあるのだろうが。

お客様の早朝の朝食が終わり、食べ終わった食器を下げてバタバタと掃除し、お見送り当番を割り当てられた仲居はエントランスで待機し、お客様が出発される際に車が見えなくなるまで手を振る、という任務をこなす。

そうして朝っぱらっからヘロヘロになった頃に、下の厨房に行き、賄いを食べに行くのだ。

昨日、場所と流れを教えてもらったため、私は一人でもくもくと食事をとり始めた。

すると、昨日は休みでいなかった仲居が、ご飯を食べている私に声をかけた。

「あなた、日本人ですか?」

私は作務衣を着て、普通に食事をとっていただけだ。

「何人に見えますか?」

と返してみた。

「いや、何か雰囲気が日本人ぽくなかったので。。」

強いて言うなら、私はこのリゾートバイトの直前、インドに1か月半、フィリピンに3週間ほど滞在していた。それらの経験から、体から出るオーラがおかしくなっているのかもしれない、と思った。ちなみにこのバイト前に私がそういう経験をしたことは、この時点では大ぴらにシェアしていない。

女性の勘ってすごいな、と思ったのと、自分が異国化していることを感じた。

確かに、いろいろ強烈な文化(特にインド)に触れて帰ってきた後なので、日本に対しての見え方も変わってしまっている節はある。

そうしていると、布団敷や厨房業務を行っている若い男性が現れた。

すると私を異人と捉え違えた彼女は、その男性に今日の髪型について嬉々として話し始めた。

どうやら、この狭い世界にも色恋まがいのものがあり、私と違って髪型にこだわりを持てる技術のある彼女にとって、現れた若者はここの界隈でのイケメン部類に入るようだ。

私にはもっさりしすぎて見えて、どこが心を打つのかさっぱりわからないが。

そうして朝の賄いが終わった後は、休憩だ。

夕方まで仕事はないため、しばしの休息となる。とはいえ、周りは山ばかりで何もなく、強いて言うなら来る時に訪れた、ここから徒歩7分ほどの所にあるこじんまりとしたお土産屋兼、プチ商店に行くくらいだ。

いったい皆さんは、この時間、何をしているのだろう?

後から知ることになるが、ご年配も多いので部屋で趣味の手仕事をしていたり、車を持っている人などはもう少し違う動きをしているようだ。後日私も一度、この時間に例の若者を含めた複数名でどこぞの牧場にアイスを食べに行くというプチお出かけに参加させてもらったこともあるのだが、そういう若者同士の交流を厨房の年配おじさんが良く思わないらしく、後からチクチク言われたりしたと聞いたりもした。

休みの日などは、仲居通しで近くのネイチャースポット観光に行ったという話しも聞いたが、結構小言の多いおばちゃんと若い子二人で行ったと聞き、その組み合わせでいくことにも驚いた。小言の多い彼女は、とてもじゃないが仕事以外の時間で関わりたいと私は思えないのだ。なので、一緒に出掛けるというその状況が理解しがたかった。一緒に行ったのは、私よりも歴が長い子たちなので、娯楽の少ない僻地では、人との交流が一番の娯楽になるのかもしれない。故に、村八分が効力を発揮するのは都会よりも田舎の方が大きいのかもしれないと、後に思うようになった。

また、賄いに飽きることもあるらしく、人によっては出入りしている業者さんにお願いして、鶏肉やら野菜やらを代理購入してきてもらい、そういったものを自分で調理して食べたりするとも聞いた。

車を持たない人は、車を持っている人に乗せてもらうか、フロントを担当している男性が麓から3時間かけて毎日通勤してきているそうなので、ガソリン代として3000円を渡して同乗させてもらい、駅ビルなどがある麓まで載せて行ってもらって、街の空気を吸いに行く人もいるらしい。

こんな感じで、街から隔離された山奥では楽しみを見つけて暮らしているらしかった。

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