思い出す限り、当時仲居として在籍していたのは10名ちょっとくらいだったと思う。
年齢層は私のようにリゾートバイト経由で来ているであろう、20代の女子たちが半分くらいと、ここ以外でも仲居歴のあるような玄人仲居たち(恐らく50代以上)が3分の1程度、そして仲居頭含め、アラサーな感じの女性が数人、という感じの構成だった。
10年前の話しの上、山奥の温泉旅館だったため、令和時代のシティホテルの自動チェックインやレストランにいる配膳ロボットのようなIT化の気配は微塵もない。
そこそこ大きい旅館と言うこともあったので、これだけの人手が必要だったとも考えられる。
そんな訳で仲間たちはバラエティーに富んでいた。
私の教育係である、元施設教員のハルカさんや、韓国人彼氏の兵役明けを待っている可愛くて大人しいオハナちゃん(仕事中にお客様から”うちの息子の嫁にしたいとナンパされるしとやかさ!)や、厨房で働く男子に関心を持つオシャレ女子や、地元の高校を卒業してこの旅館に就職した20歳そこそこのチャンコちゃん、他にも2~3人の20代女子が居た。
そして、普段の生活では決して出会わない、年季とパンチの効いた仲間たち、タバコを吸いカップラーメンを食べてコーラを飲む70代の、細かいことを厳しく言うやり手のヤノさん、ジブリのキャラクターに出てきそうなモリタさん、そしてそのモリタさんに一緒についてきた小柄な中年女性、独自のルールで田舎ならではの在り方が顕著なコゴトさんなどが在籍する。
細かいことを言う点では、ヤノさんもコゴトさんも近しい気がするのだが、ヤノさんの目的は仕事のクオリティ担保に目線が向いており、コゴトさんは田舎の独自ルールを押し付けるという点で異なっていた。
なのでヤノさんはうるさいが尊敬していたし、コゴトさんはとにかく苦手で極力関わらないように逃げ回っていた。
ある時、厨房の賄いで余った鯖フライをが捨てられようとしていたため、私が冷凍して後でオヤツとして食べるからもらうと言ったところ、可愛らしいオハナちゃんは「アメリカンな考え方ですね」と言う傍ら、コゴトさんは「そんな取るんじゃない。どうせ食べられないんだから」と謎の抗議をしてきて、私から余った鯖フライを取り上げようとした。どうせ捨てるんだからいいじゃないかとゴネたところ、決死の交渉で3匹の鯖フライの確保を認められ、それ以外は破棄された思い出がある。
その他にも、お菓子は買ってきた人が開けるまで手を付けちゃだめだ、など、首都圏の埋め立て地で育ち、インドから戻ってきた私にはとんとわからない理屈を押し付けてくるため苦手だった。しかし、そんなコゴトさんと一緒に休みの日に出かける20代女子もいるのだから、世の中さっぱりわからない。20代女子の言い分は、おごってもらえるからという話しだが、それだけ娯楽が少ないのが僻地の実情だ。
そのほか、フリータイムには延々とジャニーズのコンサートのビデオを見ているという仲居頭と、その仲居頭に憧れがあるのかストーカーする20代後半の女性、そして私の3人ほどがアラサー組として在籍していた。
どうして、こんなにややこしい程たくさんの人物を上げていくのか。
それはこの温泉旅館編は、人と人との策謀が渦巻くサスペンスが展開されていくからなのだ。
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