リゾバ冒険譚・温泉旅館編⑩ ~足が痛い~

リゾートバイト冒険譚

仲居として独り立ちを果たし、ようやく一人前の仕事をこなせるようになってほどなくして、私は左足が痛くなり、少し腫れるような感じが出始めた。

原因は全く不明だが、ずーっと足を曲げていたかのように痺れるような、曲げずらさ、コントロールのしずらさを感じるようになった。

ガラケーのネット検索で原因を予測したが、これといってわからなかったが、可能性の一つとして浮上したのが、このリゾートバイト前にフィリピンに渡航して、そこで発熱したことがあり、そこと関連しているのではと考えた。ネットの情報では、その患者は謎の体の重たさに悩み日本の病院をはしごしたが原因がわからず。フィリピンの病院で受診したら即原因がわかり、体から大量のアメーバが検出された、というような話だった。

仮に私がその人と同じものを患っているのだとして、この山奥から行ける病院で、そのアメーバに行き着くことは難しく、行き着かなければ対処も難しいと言う感じだ。ネットのその患者さんも命に別状がある感じではない様子だった。

今の私が、この足を病院で受診して治すことは費用面も含め、あらゆる角度で不可能に感じた。

そしてこの足は始終重たい訳ではなく、血行をよくすれば多少良くなるという傾向も見受けられた。

そのため私はアメーバの可能性を頭の片隅に置きつつ、足が痛む旨を仲居頭に伝え、痺れるような感じが少しするだけなので働けますと言い、状況をシェアしながらも労働への強い意欲とガッツを伝えた。

こうして私は足の悪い仲居として、びっこを引きながらしばらく働くことになった。

ここを追い出されたら私は1泊3000円を失うネットカフェ生活に逆戻りするだけだからだ。

何としてでもここにしがみつき、期間を全うするまでやり切るしかない。

私の契約期間は1か月半ほど。

残り1か月を切っているのだから踏ん張るしかない。

そのため私は少しでも労働時に足が動くよう、試合に出るためのアスリートのごとく、足のために方々尽くした。

自由時間には足をマッサージし、ストレッチをし、軽いウォーミングアップを行って血流をよくするように努めた。そうして昼間は清掃中でクローズしている温泉に、隙を見計らって侵入し、足だけお湯にに浸して回復を促したりもした。

そうしてかろうじで使い物になるようになった足で、びっこを引きながら行き来する私は、はたから見たら訳アリ感満載の仲居になっていたに違いない。

真相は、ただ足がしびれているような感じがする、というだけなのだが。

私の足の不具合は瞬く間に知れ渡り、下の厨房で働く男性陣の耳にも入ったようだ。

そうして親切なおじちゃんたちが

「このサンダル使いな。大きいから足が楽だろ」

とご自身のサンダルを貸してくださったり

「俺の薬分けてやるよ」

と、ご自身用に処方された病院の薬をくれたりもした。これは流石に症状に合うかわからないのでお気持ちだけいただいて、飲まずに手元に置いておくことにした。

そうして人様の人情を噛みしめながら、訳アリ風仲居として懸命に労働していた。

しかし、この事態が新たなる事件を引き起こすこととなるのだった。

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