この温泉旅館に流れ着いたとき、私はインド・フィリピンのバックパックの旅から帰った直後、帰る場所がなかったため、その足で勤務をはじめている。
そのため私の荷物は限られており、勤務していない時間帯には、わりとリゾートカジュアルな服を着る形となっていた。
ある時、私が風呂に行こうと思った時に、いつも通らないルートを通った時だ。
私は油断していて肩などがむき出しになるキャミソールを着ていた。
誰かに会うなんて想像しなかったのだ。
ところがそのルートを通った際に、もさイケメンとすれちがった。
私は簡単な挨拶をしてささっとその場を離れたのだが、もさイケメンが私の姿をガン見しているのを感じた。
この露出多めの姿をさらしてしまったことをきっかけに、もさイケメンを刺激してしまったようで、彼は私に関心を寄せるようになった。
とはいえ、業務が違うため日常ではほぼ会わない。
会うとしたら、賄いを食べるときに厨房でかち合うぐらいだ。
彼は私に話しかけたそうにしているのを感じたが、こちとらチャンコの嫌がらせで安定的にイライラしていたことと、こんな将来性のない所で働く男子に寄り道するなんて、アラサーの時間の使い方としては間違っているとしか言いようがなかった。
そのため、その空気感は完全無視をしていた。
また彼は、過去仲居女子たちと牧場にお出かけした際、厨房の中年男性にやっかみも含めて嫌味を言われる事態に遭遇している。それ以来、女子たちを誘うということもないようだ(私が誘われていないだけかもしれないが)。
風の噂によると、彼の弟は近隣のプロサッカーチームに所属をしているのだという。
なるほど、オシャレ女子がマークしていたのはあながち的外れではなかったようだ。
弟がそのような栄光の道を歩く一方で、このような僻地に埋もれてしまう、彼のその心境やいかに。
あまり接点のない、彼についてはたまに仲居の厨房で入ってくる噂話しくらいで
旅館の敷地内にサルが侵入したため、彼と新人の若い男子がサルを追いかけて怒られたとか、しょうもない話しくらいだった。
ある夜のこと。
いつものように労働でクタクタになりながら、賄いのある下のフロアの厨房に行ったところ、もさイケメンと新人の若者がおり、なぜか彼ら側ではなく、こちら向きにジブリの「風立ちぬ」のDVDのパッケージが置かれていた。
私はこの映画を見たことがないが、おぼろげな記憶では夫婦の話しだったように当時は理解していた。
このDVDは一体…?
鈍い私でも察しが付くが、これは私を誘い込む罠なのだ。(たぶん)
「わー、これ何ですか?」
「これジブリの映画、良かったら一緒に見ない?」
という戦法なのではないだろうか。
そして、映画を見るために部屋へ行ったらドツボにはまるという。(誘い合わせる女友達が私はいない。モリタさんくらい?)
そんな想像が脳内を駆け巡り、そのパッケージについて触れない という対処法を実践した。
そんな風にふわっとしたやり取りが発生したりもしたが、私は最終日に彼の車に乗せてもらって駅まで送迎してもらうことになるのだ。
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